創造を易しく、楽しく。ヌーラボが大切にしていること
目次

ヌーラボは、「Backlog」「Cacoo」「Nulab Pass」などのサービスを通じて、「人々の仕事を楽しくする」ことに挑戦しています。今回は代表取締役の橋本とCTOの馬場に、各サービスの強みや、エンジニア組織で働く魅力、今後の展望を語ってもらいました。

1976年福岡県生まれ。1998年、福岡にて父親の家業である建築業に携わる。2001年にプログラマーに転身。2004年、福岡で株式会社ヌーラボを設立し、代表取締役に就任。チームコラボレーションを促進するウェブサービス(Backlog、Cacoo、Typetalk、Nulab Pass)を開発・運営。現在は福岡本社を中心に、国内外の拠点(東京、京都、ニューヨーク、アムステルダム)と共にグローバル展開を推進中。

1997年にインターナショナル・システム・サービス株式会社(現フォワード・インテグレーション・システム・サービス株式会社)に入社。その後、2006年に株式会社ヌーラボへ入社し、2019年にはサービス開発部長に就任。2020年には取締役に就任し、現在もサービス開発および事業運営を牽引している。
20年愛され続ける秘訣は、「楽しさ」や「気持ちよさ」
―まずはメインサービスのBacklogの魅力や強みを教えてください。
- 橋本
Backlogは2025年で20周年を迎えますが、ユーザーの皆さまからは「とにかく使いやすい」という評価をいただくことが多いです。それはエンジニアだけでなくバックオフィスや営業部門まで、あらゆる方が直感的に操作できる「親しみやすいUI/UX」と、また使いたいという「楽しさ」を実現できているからだと思います。
- 馬場
例えば、コメントにつけられる「スター」の機能は、10個・20個とたくさんスターをつけると、星のサイズが変わる仕掛けがあります。単純ですが、遊び心があって仕事に楽しさをプラスできる要素になっています。
- 橋本
一般的な業務ソフトウェアだとどうしても淡白な印象になりがちですが、毎日使うものだからこそ、ヌーラボは意図的に遊び心のあるデザインや仕掛けを散りばめています。それによって仕事に「ちょっとした楽しさ」が生まれると、自然とサービスへの愛着も湧いてくる。だからこそ、多くのユーザーさまが周りにも勧めてくれるのだと思います。
―Cacooの魅力や強みも教えてください。
- 橋本
大きく3つありますね。まずCacooはリアルタイムで同時編集できるので、大勢で議論や合意形成がしやすい。あと、自社専用のテンプレートをつくれて、それを社内で共有して使えるのも便利だと評価いただいています。
そして他のサービスには絶対にない独自の強みが、Backlogとの連携機能です。例えば、私たちもよくCacooを開いて議論をしますが、アイデアを付箋のようなもので貼っていって、それを直接Backlogのタスクとして登録できるようになっています。
- 馬場
初めて使ったときに「気持ちよさ」を感じて、それも魅力だなと思っています。例えば、図形を配置する際に、その周囲の図形とピタッと位置が揃うところが気持ちいいんですよね。
―Nulab Passの魅力や強みも教えてください。
- 馬場
Nulab Passは、ヌーラボサービスのセキュリティとガバナンスを強化するサービスです。そのひとつの機能として、通常の業務で利用しているGoogleアカウントやMicrosoftアカウントのようなIDプロバイダでBacklogやCacooにもログインできる、シングルサインオンの仕組みがあります。また、ヌーラボのサービスで行った活動の履歴を監査ログとして記録できる機能もあり、トラブルが発生した際の原因究明のために「いつ、誰が、何をしたのか」を調べるためなどに利用できます。
- 橋本
社員が退職するときは、IDプロバイダ上で操作するだけで、すべてのヌーラボのサービスから一括でアカウントを削除できます。仮に一括削除できる仕組みがないと、退職者のアカウントがシステムに残り続けてしまうリスクがありますが、この機能があれば安心感がありますよね。Nulab Passは、大手企業のようにガバナンス、監査、セキュリティの観点で高いレベルを求められる環境において特に効果を発揮します。
―Nulab Passはどのような経緯で開発されたのですか?
- 橋本
もともと自社でBacklogやCacooを使う中で、セキュリティや監査の管理をどうするかという課題を抱えていたんです。上場準備を進める中で、より厳格な管理が必要になり、抱えていた課題を解決するためにサービスをつくりました。当初は私たち自身のニーズから生まれたサービスでしたが、いまでは大企業を中心に、高度なセキュリティ管理を必要とされる企業に数多く導入いただいています。
「ヌーラボ」と「外の世界」の壁を溶かしていきたい
―Backlogにおいて課題に感じていることや、今後どんな方向性を目指しているか教えてください。
- 馬場
Backlogを使うユーザーさまから、よく「課題の登録が難しい」という声を聞きます。例えば「ウェブサイトをつくる」というプロジェクトがあったとき、それを具体的なタスクに分解することが意外と難しい。仮に分解できて課題の「中身」は書けても、適切なタイトルをつけ、完了条件が分かるような表現にすることに苦労することも多いようです。
また、Backlogのマークダウン記法を使って文章を装飾したり構造化したりする機能も、テキストによるマークアップに慣れていない方にとっては、最初は少し難しいと感じられるかもしれません。そこで最近リリースしたのが、見たままの画面で直感的に文字の装飾やレイアウト調整ができる「ドキュメント機能」です。今後は生成AI技術も活用しながら、バックオフィスや営業など幅広い職種の方が使いやすいサービスを目指していきたいですね。
―Cacooについては、今後の展望はありますか?
- 馬場
世の中ではまだ「Cacoo=図形作成ツール」というイメージが強く、一人で黙々と作図するためのものと思われがちです。今後は単なる作図ツールではなく、複数人で同じ画面を見ながらコミュニケーションを取るためのツールとして浸透させていきたいですね。
- 橋本
実際にチームで使いやすいようなサービスへとアップデートを重ねています。例えば、ブレストする際に便利なタイマー機能や付箋機能、誰かが操作している場所を自分の画面でも追跡できるフォローモードという機能もあります。
―会社としての課題や今後取り組んでいきたいことを教えてください。
- 橋本
会社が大きくなり、プロダクト開発に関わるメンバーの数も増えてきて、ヌーラボのサービスにおいて大切な「楽しさ」につながる遊び心や斬新さのあるアイデアが生まれにくくなっている気がします。どうしても大人数で議論すると、無難な意見にまとまりやすいです。ただ、私たちが掲げている「To make creating simple and enjoyable (創造を易しく楽しくする)」というミッションに「真剣」に取り組んでいく上で、「真面目」にはなりすぎないでほしいんです。
最近、「Nu Source(ヌーソース)」というプロジェクトを始動しました。これは、社内外のエンジニアやユーザーの皆さまから新しいアイデアを集めて検証・実装していくというものです。「To make creating simple and enjoyable (創造を易しく楽しくする)」というミッションは、ヌーラボ社内だけのものにしたくありません。このミッションに共感してくれる方々と一緒にサービスを進化させ、「ミッションのもとに集まるコミュニティ」のような形で会社を運営していければと考えています。「ヌーラボとそれ以外の外界」みたいな隔ては溶かしていきたいですね。

自らプロダクトを使い、自分たちの手で進化させる
―ヌーラボでエンジニアとして働く醍醐味を教えてください。
- 馬場
ヌーラボの開発組織は、良くも悪くも「いろんなことができる」環境です。実際にビジネスへのインパクトを説明できれば、自分がやりたいと思うことはほとんど実現できる可能性があります。最近も、あるエンジニアが経営層に直接提案して新しいチームを立ち上げるなどの事例がありました。もちろん、経営判断でトップダウンの施策も進めていますが、同時にボトムアップの提案にもしっかりと耳を傾ける。その両方を上手く融合させられる組織でありたいと考えています。
- 橋本
大きな魅力だと思うのは、開発するプロダクトを私たち自身も日々使用している点です。実際に業務で使いながら課題を見つけ、すぐに改善に生かせる環境は貴重だと思います。エンジニアとして、単に仕様通りに開発するのではなく、「もっとこうした方が使いやすい」といった気づきをダイレクトにプロダクトへ反映できるのは、大きなやりがいにつながるのではないでしょうか。
―どのようなエンジニア組織にしたいですか?
- 馬場
私たちが大切にしたいことは、一見相反する二つの価値観です。ユーザーの皆さまのことを第一に考えた開発と、「こんなことをしたら面白いのでは?」というあえてユーザー視点にとらわれないアイデア。この両方が出てくるような組織が理想だと思っています。
- 橋本
組織が大きくなってくると、やはり心配なのはカルチャーが薄まらないかということ。他社を見ていると、「ミッション・ビジョン・バリューは会社のものであって、自分のものではない」という感覚の人が徐々に増えていくケースが多く見られます。ヌーラボの場合、ミッションはサービスの思想と深く紐づいているので、大切にし続けたいです。
だからこそ、入社の時点でそこへの共感を大切にしたい。ミッションやバリューに本当に共感してもらっている人にヌーラボに入ってきてもらうことが非常に重要だと考えています。

情報はオープンに、好奇心と遊び心を忘れずに
―ヌーラボではどんな人が活躍できますか?
- 橋本
何より大切なのは、「創造を易しく楽しくする」というミッションに対してしっかりアクションしている人。そして、私たちが大切にしている3つのバリューを体現できる人ですね。一つ目の「Try First」は行動を起こすという意味です。逆に永遠に頭の中で考え続けて、なかなか行動を起こさない人は合わないかもしれません。
二つ目の「Goal Oriented」は、自分やチームの取り組みを最初からオープンに共有して、周りを巻き込むという意味です。何かに取り組むときに、特定の人とオープンな場ではなく直接連絡を取り合い進めてしまい、最後の段階に入ってから「周りが何も聞いていない」みたいなちゃぶ台返しの状況を起こしてしまう。オープンな議論を好み、周囲を巻き込める方がマッチすると思います。
三つ目は「Love Differences」。自分とは全く違う視点で意見が出てきたときに、直感的に反応して怒りだしたり、拒絶したりしない人です。納得するかどうかは別として、いったん受け止めて建設的な議論ができる人が向いていると思います。3つのバリューの中でも、特に情報をオープンにできるかは大切ですね。みんなが共通認識をもって同じ目的に向かって進んでいける環境にしたいです。
- 馬場
ミッションやバリューの体現に加えて、言われたことをこなすだけの受け身な人ではなく、自分から「こうしたら良くなるのでは」と考えられる好奇心の強い人を求めています。エンジニアの場合、技術的なことに興味を持つのは当然として、それを自分で試してみた上で「じゃあプロジェクトにどう生かしていこうか」というところまで考え、行動できる人が活躍できますね。あとはやっぱり、チームで協力しながら最後までやり切れる人がぴったりだと思います。
―最後に、求職者の方へそれぞれメッセージをお願いします。
- 橋本
「Love Differences」というバリューを掲げているように、私たちは社内外の多様性を積極的に取り入れたいと思っています。実際に、ヌーラボにはさまざまな国籍や考え方のエンジニアがいますし、誰もが安心して働ける環境を整えてきたつもりです。日本のエンジニア業界では、女性や外国人がまだまだ少数派です。だからこそ、ヌーラボの雰囲気を実際に見てほしいですし、「ここなら自分の力を生かせそう」と感じてもらえたら嬉しいですね。
- 馬場
ヌーラボはまだまだ成長途中です。安定志向というよりは、今のサービスをさらに良くしていく、あるいは新しい挑戦を積極的に仕掛ける時期だと考えています。エンジニア組織には新たなテクノロジーを取り入れる土壌がありますし、「こういうのができたら面白いんじゃない?」という提案も大歓迎です。失敗を恐れず、ユーザーの皆さまのために「創造を易しく楽しくする」を形にできる人に、ぜひ来てほしいと思っています。
